ロボットとか、神話生物とか、神様とか、ヴァンパイアとか。
なんかそういう人じゃないものがメインの作品は心が辛くなるかほっこり系かの二択だと思うんですけど、これ両方入ってるジェットコースター系でした。つらい。
ロボットを通じて人間を描く短編集。
ショートショート読んでるのと同じ気持ちで読めます。
基本的にロボットには心が無い(多分、おそらく、きっと、いや作品の中で泣いたりばぐっちゃうロボットは出てくるんですけど)ので、純粋なロボットを通して色んな感情を持ち合わせた人間をみる、みたいな感じですね。
第一話の「ペットロボ」は女の子の子供ロボット。
飽きちゃったから次は男の子がいい!という持ち主に「また中古で売られちゃうのかな」と己の境遇に悲しい気持ちになります。今まで沢山の人のもとに子供ロボットとして働いてきた彼女にも、自分を大切にしてくれた忘れられない人間のお母さん(昔の持ち主)がいました。
売られる前にこっそり家を抜け出してお母さんに会いに行く女の子。しかしお母さんの傍にはロボットじゃない人間の子供がいました。
こっそり覗いていた彼女ですが、そこで警察官に捕まってしまいます。
「ルミちゃんだよね!?私のこと覚ええてくれたんだ、会いに来てくれたの?」
というお母さんに対して
「いえ、まいと申します」
と現在の名前を伝えます。
泣くはずのないロボットですが、彼女は目から沢山のオイルを流していました。
メモリを残しておいた方が学習がはやく、人間とそっくりの行動をする。
しかし人間に近づきすぎてしまった彼女のデータは全てリセットされてしまいます。
また中古品として売られてしまう彼女。そんな彼女をあのお母さんは
「昔育てたことがあるんです」
「でもメモリは消しちゃいましたよ」
「いいんです。私が覚えています。」
そう伝えて抱きしめてあげるのでした。
っていう第一話なんですけど。
辛すぎ、でも幸せになれて良かったねルミちゃん…僕は感動したよ…
という気持ちと共に、酷い人間多すぎワロタ…という悲しい気持ちにもなりました。
もちろん全ての人間がそうだったわけじゃないと思いますが、暴力をふるったり性的なことをしたりルミちゃんは沢山の人間の醜い部分を見てしまったわけです。
いやでもそういう趣向、欲求がある人もいるもんないー!人間にしちゃアカンからロボットにしてたのかもしれんし、悪いことというのも変な話だけど難しいー!
こういう欲求やら感情ってのは人間独自のもので、器用にどうにかなるものじゃないんですよ。
別の話で「ロボットにお世話になったから遺産を全てロボットにあげるおばあちゃん」の話もあるんですけど、結局そのロボットは「誰かに奉仕するために生まれた」もので欲しいものも食べたいものもなかったので仕事に戻るんですよ。
人間でもその選択をする人は居ると思うし、それが彼(ロボット)の幸せだもんねー!でもいいと思うんですけど、僕はロボット的には至極当たり前なことなのかなと思います。
「人間は愚かだけど弱くて愛おしい生き物なんだ」みたいな気持ちになる。誰。
神様はどうして人間に感情を与えたのか!みたいなテーマよくあると思うんですけど
「心ってなんだろう、正義ってなんだろう、正しいってなんだろう」
みたいなことを素直にテーマとして書けるのは、弱くも強くも慣れるロボットものなのかもしれん。